かんべむさしの金光教案内Ⅱ 第3回


第3回
「かんべむさしの金光教案内Ⅱ


 おはようございます。「かんべむさしの金光教案内」。3回目の今朝は、金光教の大きな特長の一つである、「取次」ということについて、お話をさせていただきます。
 金光教の教会は、全国各地どこの教会でも、入りますと正面が神殿で、その右手側に先生が座っておられます。その先生に参拝者は、悩みでも願いでも、どんなことでも相談させてもらえます。これは、金光教のことなど何も知らないという、全く初めての人でも、何の遠慮も要りません。私も最初はそうだったんですから、体験者として保証します。

 で、そうやって相談させてもらいますと、それに対して先生は、何かのトラブルならその解決を、願い事ならその成就を、神様に祈ってくださいます。そして、その解決や成就のために、こちらはどうすればいいのか、どんな思いで、どういう対処姿勢でやっていけばいいのかも教えてくださいます。
 ただしそれは、その先生個人の考えではなく、神様の思いや願いを基礎にした、いわば神様からの助言です。つまり先生は、こちらの願いを神様に取り次ぎ、神様の思いや願いもこちらに取り次いでくださるわけで、それでこれを、「取次」と呼んでるわけです。

 この取次は、金光教の教祖様が、神様からの指示で始められたことで、幕末以来今日まで、全国どこの教会でも、ずっと続けられています。教祖さんは、「どんなことでも願え。箸の転んだようなことでも願え」とか、「神は願われるのが役目である」と教えておられまして、熱心な信者さんほど、本当に細かいことまで、先生にお願いしておられます。
 もちろん、どんな内容でも秘密は固く守られますし、お願いしたからといって、お金を請求されることもありません。

 で、その「取次」を具体的な例で紹介いたしますと、たとえば学生の信者さんが、もうすぐ就職試験を受けるとしますね。それで緊張して、不安で仕方がないので、教会に参ってきて、そのことをお願いしたとします。
 そしたら先生は、その場で祈ってくださったり、夜中、深夜に願ってくださったり、とにかく無事に合格させてやってくださいと、神様に祈念してくださいます。そしてその学生君には、こんなふうに教えられます。
 まず、緊張して不安で仕方がないのは、あなたが本気で試験に当たろうと思い、その準備も進めてきた証拠ですから、それは気にしなくてもよろしい。ただし、そうやって準備を進めてこれたのは、家族や友だちや学校の先生の、協力や助けがあったからです。だから、それを忘れず、そのことに感謝しながら試験に当たれば、神様は必ず支えてくださいますから、安心して受験してきなさい。
 とまあ、こんなふうに教えてくださり、さらには、「これまで勉強してきたことを、よく思い出せて、正しい答案を書かせていただけますようにとお願いしなさい」とか、「合格して入社できたら、真面目に働いて、自分の役目を果たしますと、神様にお約束をさせてもらいなさい」とか、そういうことも言ってくださるかもしれません。

 そして、私の経験で申しますと、こうやってお取次を願って、その内容を先生にお話しさせてもらいますと、まず、聞いてもらえただけで気が楽になるという、そういう効果がありますね。これは、悩み事をカウンセラーに聞いてもらう場合と似てるわけです。
 ただし、取次の場合はさっきも申しましたように、神様の思いや願いを伝えるという、その立場からの助言ですから、相談する内容によっては、「あなた自身も、もっと努力しないと、神様もその願いをかなえてやりようがないとおっしゃいますよ」とか、「そのトラブルがなかなか解決しないのは、自分もこれこれこういう点を改めなさいという、神様からの御催促です」とか、なかなか厳しいことを教えられる場合もあります。

 それから、悩み事でも願い事でも、思いも寄らない解決や、奇跡的な成就を与えてもらえたという、そういう話は他の宗教にも沢山あるでしょうし、金光教にもいくらでもあります。ただし、教会の先生が取次をされる時、神様に「奇跡そのもの」をお願いするわけではないそうです。信者さんのために解決や成就を願い続けていたら、時には神様が、奇跡的な解決を与えてくださる場合もあるという、そういうことだそうで。
 もちろん問題にもよりますが、そもそも本人の努力が必要なことに関して、安易に奇跡的な解決を願うのは、楽して成果を得たいという気持ちの表れだから、それは神様には通らない。祈りや願いには、自分の努力や改まりが伴ってなければならないということで、金光教は、穏やかで優しい宗教ですが、同時に厳しい面もある宗教なんです。
 はい。というところで時間が来ましたので、来週は最終回ですから総集編として、もう少し金光教の特長をお話させていただきます。どうも、ありがとうございました。

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